
乳がんを経験してから、「自分の人生を大切に生きたい」と以前より強く思うようになりました。
その頃からだと思います。
今までなら見過ごしていたような小さな違和感や出来事に、立ち止まることが増えました。
「なんで今、こんなことが起きたんだろう」
責めるのでなく、前向きに、出来事の奥にある意味を考えるようになりました。
今日は、その中でも、少し不思議で、ウソのような、でも本当にあった話を書いてみようと思います。
今年の2月。
わたしは高熱を出して体調を崩し、そのまま突発性難聴になってしまいました。
2週間ほど仕事を休み、体調が完全には戻りきっていない状態で仕事復帰。
当然、仕事は山積みでした。
「早く取り戻さなきゃ。でも焦ってやっつけ仕事のように進めたら、きっと後でミスになる。」
頭はぼんやりする。耳も変な感じ。
それでも、「慎重に、慎重に」と自分に言い聞かせながら、ひとつずつ片付けていったつもりでした。
どうにか遅れていた仕事もなんとか追いつき、通常運転に戻っていきました。
それから数カ月後のこと。
職場で、普段ほとんど使わないカラーレーザープリンターが、突然ガシャーンガシャーンと動き出したのです。
誰も印刷していない。わたしも何も送っていない。
「え……なに?」
少し静かな空間に、機械音だけが響き渡ります。そして、一枚の書類がするすると出てきたのです。
以前のわたしなら、「なにこれ、怪奇現象!? 怖い〜!」で終わっていたと思います。
でもその時は、なぜか妙に気になりました。
手に取って書類の日付を見ると、2月中旬。あの、本調子じゃないまま働いていた頃だ……。
胸の奥が、ざわっとしたわたしは、嫌な予感がして、その案件を調べ直してみました。
すると、とっても大事な情報をひとつ入力し忘れていたのです。
もしそのままだったら、後々かなり大きなミスにつながる恐ろしい入力ミス。
……もしかして。プリンターが教えてくれた?
そんなこと、本当はありえないのかもしれない。でも、そう思いたくなるくらい、不思議なタイミングでした。
念のため、2月の仕事を全部見直しました。幸い、他には漏れもなく、きちんと処理できていて、心からほっとしました。
偶然だったのかもしれない。でもわたしは、この出来事を通して改めて思いました。
すべての出来事には、ちゃんと意味がある、と。
目をそらさず見ようとすると、世界は時々、小さなサインを送ってくれているのかもしれないですね。
神戸 イラストレーター えやひろみ
