夢の地ニューヨークへ――未知の冒険への一歩
2024年9月20日からの一週間、わたし、神戸のトラベルイラストレーターえやひろみが、人生初のSolo Exhibitionをニューヨークで開催!これまで日本で、展示会の経験はあっても、Soloの経験がなかったわたしが、まさかのニューヨークで大挑戦。期待と不安を抱えながら、未知の世界を味わいに単身ニューヨークへ飛び出しました。果たしてどんな体験が待っているのか……?!
Hiromi Eya: Itadakimasu
What Is the Appetizer of Your Life?
September 20-27, 2024 | Noon-6 PM
@Gallery 60 NYC
208 E 60th St, New York, NY 10022
Reception: September 21st, 4-6PM
憧れから現実へ――ニューヨークで描いたわたしの軌跡
わたしは英文科を卒業し、美大は出ていません。
そんなわたしが「ニューヨークで個展なんてできるの?」と、どこか信じられない気持ちがありましたが、結果的に「やりたいと思ったことは出来る!」ということを証明できたと思います。必要なのは、やる気と勇気だけ。(もちろんパスポートと航空券もお忘れなく。)
子供の頃、社会の資料集で見た自由の女神やウォール街、国連の写真を眺めて、「いつかニューヨークに行ってみたい」と憧れていました。そして、20代最後にその夢がついに実現。ニューヨークでの一週間、やりたいことを思う存分満喫しました。
その旅でたくさんのアートに触れ、「わたしはカラフルが好き。絵を描くことが大好き。」という想いを再確認しました。また、作り手と見る人たちが一緒に楽しんでいる様子を見て、ただ楽しむだけではなく、「自分の作品を誰かと共有したい」という気持ちが強く芽生えたのです。「この地でわたしの想いを表現したい」と思い、次の夢「ニューヨークで個展」を密かに心に描くようになりました。
そしてあれから15年。ついに、その夢が形になりました。
ニューヨーク個展への道――やりたいことリストで夢を形に
私は2023年の年末、「2024年のやりたいことリスト」を書き出していました。その中の一つが「パスポート更新」。コロナ禍で期限が切れたままだったパスポートを今年こそ更新し、どこか海外へ行きたいと考えていたのです。
そのリストをオンラインのシェア会で発表したとき、ふと「ニューヨークで個展をしてみたい」という夢も一緒に口にしてみました。言うくらいタダだよね、という軽い気持ちです。でもその時、開運収納師の小西紗代さんが「何となく浮かんだことは、きっとできるよ」と背中を押すようにサラっと言ってくれて、「もしかして本当に実現できるかも」という想いが胸に広がりました。
そんな矢先、インスタで偶然「ニューヨーク個展開催サービス」の広告が目に飛び込んできたのです。以前ポストカード展でお世話になった絵本コロンブスさんが提供するサポートサービスでした。
「これは問い合わせるしかない!」と思い、悩む間もなくコンタクトを取りました。そしてニューヨークのGallery60NYCさんとつないでいただき、ついに夢が現実へと動き出したのです。
ニューヨークの風に触れる――新しい世界が待っている
伊丹空港から羽田経由でJFK国際空港へ。この日を迎えるまで、わたしは約2か月間、睡眠時間を削り、家事はほぼ全て家族に任せて、個展の準備に追われる日々を過ごしてきました。少しでも多くの作品をニューヨークの皆さんに届けたくて。出発前日も一睡もしなかったのに、14時間のフライト中もほとんど眠気を感じませんでした。大興奮のわたしは、まさにアドレナリン全開。
日本の蒸し暑さがまだ体に残ったまま、ニューヨークに降り立つと、予想通り、いつもとは違う空気が肌に触れました。少し乾いたニューヨークの風が心地よく、「新しい世界に来たんだ」と、自分の殻を破る覚悟が入った瞬間でした。
摩天楼を抜けて――いざギャラリーへ
重たいスーツケースにリュック、そして大切な原画作品を抱えていた私は、タクシーでギャラリーへ直行することに。事前にギャラリーのディレクターから「白タクには乗らないように」と念押しされていたので、安心できるイエローキャブを選びました。※ニューヨークで「白タク」とは、正式な許可を受けずにお客さんを乗せて料金を取る、非合法なタクシーのことを指します。通常のイエローキャブやライドシェアとは違い、料金が不明瞭でトラブルに巻き込まれる可能性があるため、利用は避けるのが安全です。
タクシーの車窓から広がる景色を食い入るように見るわたし。最初は静かな住宅街でしたが、次第に天まで届きそうな高層ビルが立ち並ぶ風景へと変わっていきました。まさに摩天楼!「ここがニューヨークなんだ」といよいよ実感が湧いてきました。
オープンテラスのレストランが並ぶ賑やかな通りにタクシーが入ると、目的地のギャラリーに到着。
タクシーを降りると、ギャラリーの入り口そばに、わたしの個展案内ポスターが掲げられた大きな看板が目に飛び込んできました。これは夢じゃない。これからの一週間、ここで私の作品が多くの人に見てもらえるんだ!そう思うと、手に抱えていた原画作品が一層重く感じられました。
ギャラリーでの温かな歓迎――不安から安心へ
恐る恐るギャラリーの扉を開けると、優しく迎えてくれたのは、スタッフのHarukaさんとオーナーのMichiさん。初めてお会いするのに、まるで以前から知り合いだったような温かさ。
「とりあえずお茶でも飲みましょう~」と、Michiさんが高級感あふれる素敵なカップでアフリカ産の美味しい紅茶を出してくれました。緊張が一気にほぐれ、長旅の疲れも吹っ飛びました。
仲間と共に――初めての展示会準備
ホッと一息ついたところで、ディレクターのKiichiさん、インターンのMaggieさん、そして、わたしのために少し遠くから手伝いに来てくれた陶芸家のMandyさんも加わり、翌日のレセプション準備が始まりました。
持参した原画作品を床いっぱいに広げ、どの作品をどこに飾るか、KiichiさんとMaggieさんが真剣な顔で話し合っています。その姿を見て、「私のためにこんなに一生懸命になってくれるなんて……」と胸が熱くなりました。
ひとりじゃない――支えてくれる仲間に感謝
今回、わたしは単身でニューヨークに来たので、正直孤独を感じていました。本当は誰かについて来てほしかったのが本音です。しかし、その孤独感は一瞬で吹き飛びました。ずっと「全部一人でしなきゃいけない」と思い込んでいましたが、ここには、わたしのために一生懸命になってくれる仲間がいる。もう、一人じゃない――。
展示会はまだ始まってもいないのに、心が満たされ、勇気を出してニューヨークに来て本当に良かったと、心から感じました。
ワインで乾杯――文化祭のような楽しさを味わって
みんなでワインを開けて乾杯し、雑談しながらブレイクタイム。高校の文化祭準備を思い出すような、ワクワクした楽しい気持ちがこみ上げてきました。寝不足の体に美味しいワインが染みわたり、自然と笑顔に。心から笑っていると感じると、嬉しさも倍増しました。
気づけば、窓の外は真っ暗。「お腹空いたでしょ~」と、オーナーのMichiさんが近所で美味しいピザを買ってきてくれました。
タクシーから月を見上げて――応援してくれる家族を想う
みんなで作り上げたこの空間が、これからの一週間、どんな人たちに見て感じてもらうのだろう……。
高ぶる気持ちでそれ以上の想像はできませんでした。理由はそれだけではなく、そろそろ旅の疲れが出てきたからです。丸二日間は寝ていない状況。アドレナリンも切れてきた頃。私は大きなスーツケースを持ち、みなさんにお礼を言って先に失礼させていただきました。助けてくれる仲間がいるという安心感を抱きながら、渡米初日、二度目のタクシーで滞在先のホテルに向かいました。
大都会ニューヨークの明かりに負けず、月もきれいに輝いていました。その時ふと、「日本にいる家族も同じ月を見ていたのかな」と、娘たちの顔が頭に浮かびました。
全力で応援してくれている家族に、心から感謝の気持ちでいっぱいに。タクシーの窓から見えた月明かりが心に焼き付き、この光景は一生忘れないだろうと思いました。
(つづく)
神戸 トラベルイラストレーター えやひろみ