
「お得」を選ぶか、「心の満足」を選ぶか。
旅先でも、日常でも、わたしはつい損得で考えてしまうことがあります。
先日、3泊4日のグアムの旅に行った時のことです。
実質、フルで動けるのは2日間。限られた時間を有効に楽しむために、シャトルバスの乗り放題券を検討しました。
一日券は15ドル、二日券は20ドル。一回の乗車は7ドルだから、3回以上乗れば元が取れる仕組み。
3回以上も乗るかな……と悩みつつも、お得な二日券を選び、「1日目は街の中心をめぐって、2日目はアウトレットとナイトマーケットへ」と計画を立てました。
ナイトマーケットは、毎週水曜限定で開かれる地元のイベント。ローカルフードや雑貨の屋台が並び、地元の人も観光客もにぎわうそう。
「ちょうど水曜日に滞在してるなんてラッキー! これは絶対行きたい! 」と思っていました。
でも……。
街歩きをして、レストランでローカルフードを食べて、地元のスーパー巡りを楽しんでいるうちに、段々とナイトマーケットへの意欲が薄れていきました。
マーケットに行くより、ホテルのプールサイドバーでカクテルをゆっくり味わいたいかも……。
けれど、「せっかくの機会を逃すのは損」「二日券を買ったんだから、バスに乗らなきゃもったいない」と、
頭の中では“損得勘定”の声が騒いでいました。
ローカルを味わいたい気持ちより、「元を取るために行く」気持ちのほうが強くなっている自分に気づきました。
そのとき、大阪万博の通期券のことを思い出しました。
通期券を買ったものの、なかなか都合をつけて行けず、「元を取らなきゃ」と義務のように通っていた時期がありました。
家族に「無理して行かなくてもいいんじゃない?」と言われても、「せっかく通期券を買ったんだから行かなきゃもったいないでしょ」と、楽しむことより“数をこなす”ことに必死になっていた気がします。
本当はどうしたかったのか。
「行きたいけど人が多くてちょっとしんどい。外国の雰囲気を味わえるのも楽しいけれど、現地に行くほうがやっぱり好き。」
それが正直な気持ちでした。
その時の教訓が再び課題となってやってきた気がしました。
さて、グアムでわたしはどちらを選んだと思います?
ナイトマーケット? それとも夜のプールサイドバーでカクテル?

答えは……。「ホテルのプールサイドバー」
夕方5時〜7時がハッピーアワーと知って、テンションが上がってしまいました。
これも損得勘定?と笑いながら、海が見えるプールサイドで好物のフィッシュ&チップスと南国のカクテルを味わう時間は、 “お得”よりもずっと満たされたひとときでした。
“心が喜ぶ選択” をすると、思っていたより心が軽くなるものですね。
ちなみにナイトマーケットには行きませんでしたが、午前中にアウトレット内の本屋さんへ行ったので、バスの2日券は結局無駄にはしませんでした。
自分の中のちょうどいい選択ができて満足です。
神戸 トラベルイラストレーター えやひろみ
