
赤いランドセルがふたつ。
2025年春。次女が中学に入学し、娘二人とも中学生になりました。小さな背中で大きなランドセルを背負っていた頃が懐かしく感じます。
長女と次女、それぞれ6年間使ったランドセルを、このタイミングで寄付団体に送ることに。
6年間使ったとは思えないほど、どちらもとてもきれいな状態。
それは娘たちが丁寧に大切に使っていた証です。
ランドセルに重なる6年間の記憶

わたしが通院していた放射線治療クリニックにて。
主治医の先生やスタッフさんにランドセルを見せる長女。
長女のランドセルを買った時、わたしの乳がんが見つかった頃。
不安な気持ちと向き合いながら、抗がん剤治療を始める覚悟をするタイミングでした。
次女の時は、手術や治療が落ち着いて、元気にランドセルを選べたけど、入学して間もなく、乳がん再再発がわかり、また1年生の終わりにはコロナの緊急事態宣言。
しばらくランドセルを棚にしまっていた時期もありました。
6年間フルで使えたわけではなかったけれど、わたしたち家族にとって、ランドセルと共に深い記憶に残るストーリーがあります。
手放すか、残すか、家族で話し合った時間

思い出が詰まったランドセル。
夫婦で「リメイクしようか?」と話したこともありましたが、
娘たちにとってはすでに「過去のもの」。
わたしたち親にとっては名残惜しくても、誰かにとって必要なものであるなら……と、娘が大切にしていたぬいぐるみと一緒に寄付団体へ送ることにしました。
成長を支えてくれた、しろくまのぬいぐるみ

長女が大好きだったすみっコぐらし。中でもお気に入りは「しろくま」。
家族写真でも一緒に登場する、大切なぬいぐるみでした。
けれど最近は、飾ってあるだけで触ることもなくなっていてた様子。
「全部まだ大事にしてるの?」と聞いてみると、「もう大丈夫」と、しろくまをそっと段ボールの中に入れていました。
娘の成長を感じる瞬間。
少し寂しかったけれど、思い出は写真にも、心にも、そしてわたしのスケッチブックにも、ちゃんと残っています。
新しい“推し”との出会い

いま娘たちが夢中になっているのが「Mrs.GREEN APPLE」。
「しろくま」を手放したそのタイミングで、「Mrs.GREEN APPLE」の公式キャラクター「メメル」のぬいぐるみキーホルダーを、JAM’S(ファンクラブメンバー)の弟夫婦がプレゼントしてくれて、娘たちは大喜び!
「手放すと、新しいものが入ってくるね」
そう声をかけると、小さくうなずく娘の姿が印象的でした。
わたしも、少しずつ整理しよう
娘たちの背中を見ていたら、わたしも何か整理したくなってきました。
最近ごちゃついていたメイクボックスを見直してみようかなと思います。
手放すことは、寂しさもあるけれど、その分、心にも空間にも、新しい風が入ってくるのかもしれませんね。
神戸 トラベルイラストレーター えやひろみ