
旅行が大好きなわたしにとって、「旅」は心のエッセンス。
行きたい時に行きたい場所へ、気軽にふらっと出かけられたらいいけれど、そうもいかない時だってありますよね。
実はわたし、抗がん剤治療をしていた時も、旅に行く計画を立てていました。
実際に行けたこともありましたが、直前で体調を崩して、泣く泣くキャンセルしたことも何度かあります。
でもね、実際に旅に行けなくても、「旅の妄想」だけでも、心はちゃんと癒されるんです。
今日は、そんな時期に描いた、わたしの大切な作品のお話をしたいと思います。
旅するアートの誕生秘話
わたしが通っていた大学病院の化学療法室には、毎日たくさんの患者さんが治療に来ています。
わたしもその中のひとりでした。
毎週、抗がん剤治療を受けに通っていた経験があります。
予約時間より早めに病院に着いて受付を済ませても、待たされることもしばしば。
最初はスマホでSNSを見たり、ネットサーフィンをして時間をつぶしていました。
でもある日、待合室で、ふと周りを見ると、編み物をしている人、刺繍をしている人、ナンプレを解いている人……。
みんな思い思いに「自分の時間」を過ごしていたのです。
それを見て、「わたしも、なにかしよう!」って思いました。
そのときすぐに浮かんだのが、「絵を描くこと」。
大嫌いな点滴も、心の癒しがあると、ほんのすこーし、頑張れそうな気がしたのです。

そしてその時描いたのが、この一枚。
元気になったら行きたい場所、やりたいことを思い浮かべながら描きました。
タイトルは『夏の思い出』。
このときは、この作品の中のできごとは、まだ思い出ではなく、妄想だったけど、絶対思い出のワンシーンにしてやる! という決意と、「また絶対、家族で海に行くぞ」——そんな願い込めて描いた作品です。
この絵は、治療中の不安や痛みを忘れさせてくれる、わたしにとっての心の逃避先でした。
海辺の風景、子どもたちの笑顔、しなやかになびくヤシの木。
目をつぶると、潮風が鼻先をくすぐり、ビーチにいるような。
感じるすべてが「生きる喜び」の象徴です。
この『夏の思い出』は、わたしが本気で描けた最初の旅するアート。
ここから、「旅するアートシリーズ」が始まりました。
旅するアート シリーズはオンラインショップで販売中
自分の心の癒しのために描いた作品が、誰かのためになれたらと、オンラインショップでインテリアアートとして販売することにしました。
この『夏の思い出』は、わたしが「旅するアート」を描くようになった原点ともいえる、想いの詰まった一枚です。
ご自宅に、癒しの旅時間を飾ってみてはいかがでしょうか。
お部屋のアクセントや贈り物にもおすすめです。
「旅するアート Art-ravel(アートラベル)シリーズ」として、今後、少しずつお求めいただける作品を増やしていこうと思いますので、楽しみにしていただけたら嬉しいです。
神戸 トラベルイラストレーター えやひろみ