ニューヨークでの初めての個展「Itadakimasu」。そのオープニングレセプションを迎えたわたしは、「夢が形になる瞬間が、いよいよ今日訪れる!」期待と緊張で胸がいっぱいでした。念願の地ニューヨークで、自分の作品を通じて多くの人と出会える喜び。どんなレセプションの一日になるのでしょうか?それでは、レセプション当日の朝からの様子をお届けします。
ニューヨーク個展2日目。レセプションの朝
渡米翌日の2024年9月22日土曜日、Gallery60NYCで私の個展「Itadakimasu」のオープニングレセプションを迎えました。前夜は緊張で眠れないかと思いきや、準備疲れが効いたのか、意外とぐっすり眠れました。この日のために選んだお気に入りのワンピースをまとい、少しドキドキしながら、いざギャラリーへ。
私が滞在していたのは、マンハッタンから地下鉄で40分ほど離れたクイーンズのフラッシング地区。何度も確認したギャラリーの場所を、念のためGoogleマップで再確認しながら朝食をとり、十分すぎるほどの余裕をもってホテルを出発しました。徒歩5分ほどのフラッシング駅までの道のりは、アジア系の飲食店が立ち並び、朝から活気が溢れるエリア。ニューヨークにいるはずなのに、中国に旅しているような気分になりました。
順調に駅に着いたところで少しトラブルが発生。アップルウォッチで改札を通ろうとしたのですが、設定がうまくいかず通れないというハプニングが!余裕をもって出発したはずなのに、急に不安になり、緊張も相まって少しパニックに。でも結局、クレジットカードで無事にタッチしてホームへ。ニューヨークの地下鉄はキャッシュレスで利用できて、とても便利でした。
マダムIKURAのヘアで華やかにお出迎え
道に迷いながらも何とか無事にGallery60NYCに到着。前日と同じように、スタッフのHarukaさんとオーナーのMichiさんが温かく迎えてくれて、緊張が少しほぐれました。
Michiさんはビューティーサロン「Michi」のオーナーで美容師でもあります。この日は、レセプションで多くの方をお迎えするため、思い切ってヘアセットをお願いすることに。私の作品「マダムIKURA」をイメージして、Michiさんにスタイリングしてもらいました。
マダムIKURAは、やりたいことがイクラでも溢れ出す様子をイクラの軍艦巻きで髪型を表現したユニークな作品です。そのイメージ通りに髪をセットしてもらい、「よし、あとは思いっきり楽しむだけ!」と気合が入りました。
スタイリング中、Michiさんから「あなたの作品は、どれもカラフルで優しくて、心が豊かになるわ」と言っていただき、心がじんわりと温かくなりました。わたしは、日々「自分の作品で、生きとし生けるものすべてへ元気を届けたい」と願いながら制作活動をしています。Michiさんの言葉は、その想いが届いているようで、私にとって最高の財産になりました。「このまま突き進もう」と少し自信が持てた瞬間でした。
作品を通じて届く、ことばの宝石たち
オープニングレセプションでは、今回の個展のテーマ「食を通じて見つめる幸せ」を感じていただけるよう、ポットラックパーティーのような、皆さんが気軽につまんで楽しめるようなお料理と、それに合うワインやお酒をにぎやかに用意しました。 少しずつテーブルに料理が並び始めると、次第に会場には続々とお客様が。オーナーやディレクターのお知り合い、インスタを見て来てくださった方、そのお知り合いなど、ニューヨーク在住の日本人はもちろん、現地の方々、さらには色々な国の方々が足を運んでくださいました。
会場を彩るカラフルな作品と作品にちなんだお料理を前に、皆さんが笑顔で楽しんでくださっている様子を見て、「これは夢?」と思うような信じられない気持ちと嬉しさが入り交じり、頭と心が追い付かない感覚。目の前で広がるこの光景は、一生忘れられない記憶になると感じました。
「優しいカラフルな色合いが楽しい!」と話してくれる方。
わたしの闘病経験を知り、作品から様々な想いを感じ取ってくれた方が、「生きるチカラが湧きます」と言ってくれたこと。
「あなたの作品には力がある」と涙ぐみながら過去の経験を話してくださる方。
まるで、美しく輝くことばの小箱を開いたように、皆さんからのメッセージが次々と届けられ、その一つ一つが驚きと感動をもたらし、わたしの宝物となりました。
多くを語らずとも、作品を通じてメッセージが伝わる喜び。ここに至るまで何年も抱き続けたわたしの願いが、やっと叶った瞬間でした。辛い闘病経験もすべて意味のあることだったと感じ、諦めずに頑張ってよかったと心から思います。睡眠時間を削って準備した作品の数々に、自分の想いがしっかり込められていたことを実感しました。
アートを通じて多くの方に元気を届けるつもりが、逆にたくさんの勇気と力をいただく、貴重なひとときでした。
夢の舞台で得た勇気と感謝を胸に、新たな一歩へ
たくさんの方にご来場いただき、お食事も楽しんでいただいて、会場が賑わってきたところで、わたしからの挨拶をさせていただきました。
英語で色々と考えていたはずなのに、緊張でその内容がすべて吹っ飛んでしまいました。
来てくださった方々へのお礼、応援してくれた仲間たち、素敵な先輩方、何度も打ち合わせを重ねて相談に乗ってくれたディレクターのKiichiさん、そしてGalleryとつないでくださった絵本コロンブスのISAOさんへの感謝……。さらに、自分の経験や、作品を通じて届けたいメッセージもお伝えしたかったのですが、考えていたことの半分も伝えられなかった気がします。
最後に、ここに来るまで全力でサポートしてくれた娘たちと夫へ感謝を述べようとしたとき、感極まって涙が溢れて止まらなくなってしまい、代わりにディレクターのKiichiさんに個展への想いを伝えてもらいました。(情けないやら、でも本当に助かりました。)
目まぐるしく過ぎたオープニングレセプションが終わり、オーナーやディレクターと共に打ち上げへ。この時に飲んだお酒は、格別に美味しかったです。
無事にオープニングを迎えられて、心からホッとしました。
多くの方に支えられ、ここまで来られたことに心から感謝しています。夢の舞台ニューヨークで迎えた特別な一日。
これからも作品を通してたくさんの方に元気を届けたいと強く感じた夜でした。また一歩踏み出そうと思います。
(つづく)
神戸 トラベルイラストレーター えやひろみ