
オーストラリア・ヴィクトリア州第2の都市、Geelong(ジーロング)。
メルボルンから電車で約1時間の港町ですが、「メルボルンの郊外」や「日帰り先」として語られることは多くありません。
観光地として大きく取り上げられることは少ないこの街に、わたしは5泊しました。
人があまり足を運ばない街の空気や暮らし、時間の流れを感じる旅が好きで、今回はあえてジーロングを旅の拠点に選びました。
この記事では、実際に街を歩き、泊まり、食べ、何度も朝と夜を迎える中で見えてきた、ジーロングの魅力と過ごし方を、旅行記としてまとめています。
なぜジーロングに、5泊したのか
ガイドブックにたくさん載っている場所よりも、「なぜか気になる」「あまり人が行かなさそう」そんな街に惹かれることが、昔からよくあります。
ジーロングも、まさにそんな存在でした。
初めて聞く地名。詳しい情報は少ない。
だからこそ、短時間で通り過ぎるのではなく、暮らすように滞在してみたいと思い、5泊することにしました。
朝の港とルーティンの散歩、昼の街歩きとコーヒー、夕暮れの海、静かでも賑やかでもない、心地よく落ち着いた夜。
日を重ねるごとに、観光では見えにくいこの街の表情が、少しずつ立ち上がってきたのです。
メルボルンから約1時間|日帰りもできるが、滞在してこそ見える港町


Geelongは、メルボルンから電車で約1時間ちょっとの場所にある港町。
もしメルボルン旅行を予定しているなら、日帰りや1泊でも立ち寄ってみると、ぐっと旅の景色が広がると思います。
賑やかな都市とは違い、時間がゆっくり流れているような感覚。
「観光する」というより、「その街で過ごす」ことが心地いい場所でした。
1月のジーロングの気候|夏でも上着があると安心
わたしが訪れたのは1月初旬。
南半球に位置するオーストラリアの1月は夏。
だけど、オーストラリア南東部、特にメルボルン辺りは、一日に四季が訪れるほど、気温差が激しく変動すると言われています。
わたしが訪れた時はまだ初夏手前のような気候で、少し肌寒く、上着があると安心な気温でした。
脱ぎ着しやすい服装をおすすめします。
日本からGeelongまでの行き方|空港からは高速バスが便利


日本からは、成田〜メルボルンの直行便を利用しました。
メルボルン空港からGeelongまでは、“GULL(ガル)”という高速バスで移動。
バス停は空港ターミナル3にあり、目印は「MELBOURNE」のモニュメント。
チケットは日本で事前にネット予約し、当日は予約画面を運転手さんに見せるだけでOKでした。
今回の宿泊先はGeelong駅から徒歩8分ほどだったので、下車もGeelong駅で。
所要時間はおよそ1時間半。車窓を眺めながら、旅気分を楽しめました。
e-SIMは事前準備がおすすめ|使ってよかった通信環境
日本を発つ前に忘れてはならないのが、e-SIMの準備。
昨年グアム旅行でも使って良かったWorld eSIMを、今回も利用しました。
選んだのは
・オーストラリア eSIM 10GB/15日
・3,100円(25%OFFクーポン利用で2,325円)
カフェやホテルではWi-Fiが使える場所も多く、実際の使用量は3GB未満。
短期滞在なら、3GB・7日 1,280円プラン(25%OFFクーポン利用で960円)でも十分だったかもしれません。
暮らすように泊まる|ホテルはQuest Geelong Central


持参することをおすすめします。
今回の滞在先は Quest Geelong Central Hotel。
5泊6日と少し長めの滞在だったため、キッチン付きの部屋を選びました。



キッチン、オーブン、電子レンジ、食洗機、調理器具、食器類まで完備。
さらに、洗濯機・乾燥機も部屋の中にあり、ランドリールームへ行く必要もなし。
清潔感があり、フロントスタッフもとても親切。
「またGeelongに来るなら、迷わずここ」と思える、暮らすように泊まれる快適なホテルでした。
ジーロング観光の定番|ウォーターフロント散策と街の雰囲気

街に着いてまず向かったのは、ウォーターフロント。
朝から散歩やジョギングを楽しむ地元の人が多く、観光地というより“日常の風景”が広がっていました。

穏やかなハーバーにはヨットが並び、以前訪れたバンクーバーの景色を少し思い出すような雰囲気。
海が身近な神戸に住むわたしにとって、とても親近感の湧く場所でした。

そして、このウォーターフロントで何度も目に入るのが、色鮮やかな人型の彫刻たち。
「ジーロング・ボラード(Geelong Bollards)」です。
街の歴史を語る、カラフルな案内人「ジーロング・ボラード」



Geelongといえば、ウォーターフロント沿いに並ぶ「Baywalk Bollards(ベイウォーク・ボラード)」が有名です。

きっと誰もが思わず、ボラードと一緒に記念写真を撮ってしまうのではないでしょうか。
そんな存在感を放つのが、このカラフルな彫刻たち。
ボラードは、港に使われていた古い木材を再利用して作られた、人の形をしたアート作品。
現在は100体以上が、Rippleside Parkからウォーターフロント、Botanic Gardensまでの海沿いを静かに見守っています。
それぞれが、ジーロングの歴史に関わった人物や時代を表現しており、先住民の家族、探検家マシュー・フリンダース、1930年代の水着姿の女性たちなど、一体一体に物語が込められているそうです。
このボラード・トレイルは全48スポット。
片道約2時間ほどの散策コースで、歩きながら街の歴史に出会えるのも魅力です。
歩くたびに出会う、街角のアートたち

アート好きの人なら、きっと心が弾むはず。
Geelongの街を歩いていると、建物の壁や路地裏、ふとした曲がり角の先に、ウォールアートが次々と現れます。


色鮮やかで、ユーモアがあって、少し挑戦的。
どれも思わず立ち止まり、写真を撮らずにはいられないものばかりでした。


目的地を決めずに歩いているからこそ、「こんなところに!」とアートに出会えたときの喜びは、まるで旅の途中で宝物を見つけたような感覚。
ぜひ、あなただけのお気に入りの一枚を探しながら、街歩きを楽しんでみてください。
Geelongの歴史を知るなら外せない|National Wool Museum

Geelongに来たらぜひ立ち寄ってもらい所があります。
それはNational Wool Museum(ナショナル・ウール・ミュージアム)。オーストラリアと羊毛(ウール)の深い関わりを伝える、国内で唯一のウール博物館です。
1788年に羊がオーストラリアへ持ち込まれて以来、羊毛産業は約200年にわたり、国の経済や農業、そして「良質なウールの産地」という世界的評価を支えてきました。
なかでもGeelongは、1835年に羊の牧畜が始まり、1868年には毛織物工場が誕生。
長い間、「世界の羊毛の中心地」と呼ばれてきた、羊毛と深い縁を持つ街です。
かつて世界のウール産業を支えたGeelongですが、20世紀後半になると状況は大きく変わっていきます。
化学繊維の発達により、衣料の選択肢が広がったこと。
さらに、生産や加工の拠点がコストの低い海外、特に中国へと移っていったことにより、Geelongの羊毛産業は次第に縮小し、多くの工場が役目を終えました。
それでも、この街は「失われた産業」をただ消してしまうのではなく、その歴史を文化として残す道を選びました。
かつてウール倉庫だったこの建物は、保存・再生され、今ではオーストラリア唯一の総合的なウール博物館として、多くの人を迎えています。


当時としては画期的な採光や通風を取り入れた建築で、今も重厚なブルーストーンの外観が印象的です。
栄えた時代も、衰退の背景も、そして未来へつなぐ選択も、National Wool Museumは、Geelongという街そのものを静かに物語っている場所でした。




館内では、羊毛産業の歴史やウールができるまでの工程が、実際に使用された機械や、イラスト、写真を交えてわかりやすく展示されています。


また、当時のオーストラリア先住民の生活文化を再現した展示もあり、この土地が歩んできた時間を立体的に感じることができました。



併設されているミュージアムショップもおすすめです。
上質なウールの色鮮やかなセーターや防寒具、オーストラリア製の雑貨などが並び、見ているだけでも楽しく、ついつい長居してしまいます。
感性に触れる場所|Geelong Gallery ジーロング・ギャラリー

滞在していたホテルのすぐそばに、Geelong Gallery ジーロング・ギャラリー(美術館)がありました。
「せっかくなら」と、ふらりと立ち寄ってみました。
1896年に設立されたGeelong Gallery は、オーストラリアを代表する最古の美術館の一つです。
館内には、オーストラリア国内外の絵画をはじめ、紙作品、彫刻、装飾美術など、6,000点を超える貴重なコレクションが収蔵されています。
驚いたのは、入館料が無料ということ。
これほどの作品群を、気負わず、日常の延長のように楽しめるのは、海外ならではの文化だなと感じました。

重厚感のある建物に足を踏み入れると、一瞬、ヨーロッパの街に来たのかと錯覚するような空気感。
静かで落ち着いた空間の中で、自分のペースでアートと向き合える時間が心地よかったです。
こちらもミュージアムショップが充実していて、アートブックや雑貨を眺めているだけで、つい時間を忘れてしまいます。
この旅で、すっかり「ミュージアムショップ巡り」が趣味になってしまいました。
旅の楽しみは、やっぱり「食」

旅といえば、やっぱり食。
Geelongは、シーフードを存分に楽しめる街です。

ウォーターフロント沿いにはシーフードレストランが並び、ムール貝、ホタテ、牡蠣、イカ、エビなど、海の幸がとにかく新鮮。
定番のフィッシュアンドチップスも外せません。
テイクアウトして、海を眺めながら芝生で食べるのもおススメです。

わたしはレストランで、イカのフライとスパークリングワインを。
「噛まなくてもいいのでは?」と思うほど柔らかくて、感動的なおいしさでした。
暮らすように食べる、Geelongのスーパー時間

今回はキッチン付きのホテルに滞在していたので、スーパーで食材を買い、部屋で食事をする日も。
野菜やチーズ、ラム肉がずらりと並ぶ売り場は、見ているだけでも楽しく、つい、あれこれ買ってしまいました。



特に印象的だったのがラム肉。分厚いのにとても柔らかく、独特の臭みもまったくありません。
油をひかずにフライパンで焼き、塩こしょうを振るだけ。
シンプルなのに、驚くほどおいしくて、すっかりラム肉の虜になりました。
近郊スポット|グレートオーシャンロード

Geelongに来たら、ぜひワンデイトリップで訪れてほしいのがグレートオーシャンロード。
Mr.Childrenの「Tomorrow never knows」のミュージックビデオのロケ地としても知られる、絶景ルートです。
ツアー参加を検討したのですが、調べてみるとメルボルン発着のものがほとんどで、しかもなかなかのお値段。
そこで今回は、Geelong駅から出ているローカルバスに乗り、グレートオーシャンロードのひとつ、アポロベイを目指すことにしました。
片道2時間ちょっと。
バスの車窓からの景色も楽しく、なによりお財布にやさしい。往復で11.4AUD。



アポロベイで目にしたのは、ビッグウェーブが次々と押し寄せる、真っ青な海。
今年も人生のいい波に乗れそうだなと縁起よく感じました。



雲ひとつない空は、海との境界線がわからなくなるほどで、この景色を前にして、「あぁ、今わたしはオーストラリアの地に立っているんだ」と、実感が込み上げてきました。


バスの本数が少なく、滞在時間は約3時間ほどと短めでしたが、海沿いを散歩し、風を感じ、地ビールと共にフィッシュアンドチップスとムール貝を味わい、海沿いに立ち並ぶおしゃれなショップにも立ち寄って。


限られた時間でも、十分すぎるほど満たされる時間でした。

5泊したからこそおすすめしたい、ジーロングの過ごし方(朝・昼・夜)
朝|港の空気を感じながら、一日を始める
ジーロングの朝は、驚くほど静かです。
港沿いを歩いていると、観光地というより、地元の人たちの生活の延長にそっとお邪魔しているような感覚になります。
急がず、予定を詰め込まず、ただ海の色や光の変化を眺める。
そんな朝の時間が、5泊の旅では自然と日課になっていきました。
昼|歩いて、食べて、街を知る
日中は、街をぶらぶら歩きながら気になるカフェやショップに立ち寄る時間。
観光用に整えられた店というより、地元の人が普段使いしている場所が多いのも、ジーロングらしさだと感じました。
何日も滞在することで、「今日はここ」「明日はあそこ」と、選択肢が増えていくのも楽しいところです。
夜|何もしない贅沢を味わう
夜のジーロングは、とても穏やか。
にぎやかなナイトスポットを求める人には物足りないかもしれませんが、旅先で「何もしない夜」を過ごせるのは、実はとても贅沢です。
5泊したからこそ、夜を急がず、ただ一日を終える時間を味わえました。
日帰りでは気づけなかった、ジーロングの良さ
ジーロングは、正直に言うと、日帰り観光だけでは魅力が伝わりにくい街だと思います。
見どころが一か所に集まっているわけでも、写真映えするスポットが次々現れるわけでもありません。
けれど、滞在日数を重ねると、
- 朝と夕方で変わる街の表情
- 曜日によって違う人の流れ
- 何度も通うことで覚えていく景色
そうした「変化」に気づくようになります。
ジーロングの良さは、派手さではなく、時間をかけた人だけが受け取れる心地よさなのだと思いました。
Geelongは、こんな人におすすめ

オーストラリア南東部といえば、メルボルンを訪れる人が多いかもしれません。

けれど、都会の喧騒から少し離れ、ちょっぴり落ち着いた中でアートと自然を味わいながら、“暮らすように旅をする”時間を楽しみたい人に、Geelongはとても心地いい街です。


派手さはないけれど、歩くほどにじわじわと好きになる。そんな魅力が、Geelongにはありました。

ジーロング観光が向いている人・向いていない人(正直レビュー)
向いている人
- 観光地化されすぎていない街が好きな人
- 予定を詰め込まない、余白のある旅がしたい人
- カフェや散歩、日常の延長のような時間を楽しめる人
向いていないかもしれない人
- 短時間で多くの名所を巡りたい人
- にぎやかな観光地やショッピングが目的の人
- 「ここに行けば正解」という分かりやすさを求める人
ジーロングは、誰にでもおすすめできる街ではありません。
でも、合う人にとっては、とても静かで、豊かな旅の記憶が残る場所です。
ジーロング観光まとめ|滞在の目安
メルボルンからの距離:電車で約1時間
おすすめ滞在日数:
・街の雰囲気を知るなら日帰り〜1泊
・暮らすように味わうなら2泊以上(時間が許すなら数泊)
旅のテーマ:アート・港町・食・暮らすような旅
向いている人:
・観光地より空気感を大切にしたい
・メルボルン旅に変化をつけたい
・一人旅や大人の旅が好き
神戸 トラベルイラストレーター えやひろみ
