
メルボルンのカフェで出会った、少し意外な一杯のコーヒー。その体験がきっかけで、わたしはエスプレッソマシンを迎えることになりました。旅の思い出が、日常の朝時間に溶け込んでいく。予想外のハプニングが教えてくれた、小さな幸せのお話です。
メルボルンのカフェで起きた小さなハプニング
メルボルンを訪れたときのこと。
「コーヒーの街」として有名なその場所で、おしゃれなカフェに入りました。
ワクワクしながらコーヒーを注文。

すると運ばれてきたのは、思っていたのとは少し違うもの。
カップに3分の1ほどのエスプレッソ。
そして別添えで、ふわふわに温められたミルク。
隣の席では、ハートのラテアートが描かれた美しい一杯。
あれを飲む気満々だったわたしは、少しだけがっかりしました。
「英語、伝え間違えたかな……。」(英検準一級、持っているのに…と少し落ち込みました。)

でも、ミルクを注いだ瞬間、気持ちが変わりました。
泡がふわっと広がって、「あれ? これってもしかして、自分でアートできるんじゃない?」と。

ナイフを使って葉っぱを描こうとしてみるものの、もちろん簡単にはいきません。
でも、不思議と楽しい。
「どうやったらあんな素敵に描けるんだろう?」
ラテアートへの興味が、むくむくと湧いてきました。
空港ラウンジで見た、魔法のような一杯

こんなラテアートができるようになりたい!
帰国の日。
空港ラウンジで頼んだカフェラテに、わたしは目を奪われました。
バリスタさんがマシンでエスプレッソを抽出し、スチームでミルクを一瞬で温め、きめ細かく泡立てる。
カップを少し傾け、高い位置からミルクを注ぎ、さらりと描かれるラテアート。
その手際のよさと美しさ。
あの一杯が、心に残りました。
家での挑戦と、小さな挫折
自宅に戻ってから、鍋とブレンダーでミルクを温め泡立ててラテアートに挑戦してみました。
でも、まったくうまくいかない。
洗い物も増えて面倒に思い、あえなく一回で断念。
ラテアートは、わたしには向いていないのかな。
そう思いながらも、心の奥には別の声がありました。
「おいしいコーヒーを、家でゆっくり飲みたい。」
自分で淹れるコーヒーが、どこか物足りないのは、たぶん「めんどくさい」という気持ちが混ざっているから。
カフェ時間は好き。でも毎回おしゃれなカフェに行くのは現実的じゃない。
そんなことを考えていると、ふと空港で見たあのマシンを思い出しました。
調べてみると、それはエスプレッソマシン。
自分で粉をセットして抽出できて、スチームでミルクを温めながら泡立てられる。
少し勇気のいる金額。
でも、思っていたほど遠い存在でもない。
「毎日がちょっと嬉しくなるなら、アリかもしれない。」
そう思って、思い切って迎え入れました。
思い切って迎えたエスプレッソマシン

「デロンギ アクティブシリーズ ECP3220J-W」
スチームでミルクが一瞬でふわふわになる感動。
それだけで、もう楽しい。
ラテアートは、もちろん簡単ではありません。
でも練習する時間が、たまらなく好き。

何より、家族が喜んでくれる。
朝のギスギスした空気が、カフェラテ一杯でやわらぐ。
娘たちの機嫌もよくなって、会話が増える。
わたし自身も、なんとなくダラダラしていた朝の時間を、「ラテアートの時間」に変えられるようになりました。
同じ朝なのに、質が変わった気がします。
朝時間が変わった

148mm×100mm ヴィフアール水彩紙
色鉛筆
きっかけは、メルボルンのカフェで思っていたのと違う一杯が出てきたこと。
あの「別々になったエスプレッソとミルク」が、新しい楽しみを運んできてくれました。
自分のために、美味しいコーヒーを、楽しく淹れる。
ずっと心のどこかで願っていたことが、こんな形で叶うなんて。
人生って、ちょっとしたハプニングから思いがけない趣味が生まれるものですね。
ラテアートが上達したら、ぜひ飲みにいらしてくださいね。
神戸 トラベルイラストレーター えやひろみ
